東京生まれ。“手紙を書く時間を創造する”
「POSTORY」代表。主に経営者への手紙コンサルティング、企業用プロダクト製作等。承った手紙は上皇上皇后両陛下宛〜社員宛迄多岐に渡る。手紙から広がる文化・歴史・アート等、親しみを込めて探究。趣味は年表作成。

- 花見月、春陽を祝う手紙 -
春という季節は、心をあらたにしてくれます。
特に3月は卒業シーズンや年度末ということで、節目を迎える方も多くいらっしゃるかと思います。
卒業・入学を前に、お世話になった方に感謝を伝える手紙や、門出を祝う手紙など気持ちを込めたお手紙をしたためる機会も多くあります。
また、春気満つるこの時期に花だよりを贈るのも素敵です。
近況報告からお祝い、お花見のお誘いまで。
春のおたよりを存分に楽しみましょう。
最初の画像でご紹介しているのは、原稿用箋を使った春のお便りです。
柳色は桜色と同様に日本の春を代表する色です。
そんな薄柳色の罫線に文字を並べ、近況報告はいかがでしょうか。
(ご紹介している封筒は、榛原日本橋本店でのみ取り扱っています。)
掲載切手:特殊切手「江戸−東京シリーズ 第1集」日本橋(84円)2020年6月16日発売
合わせた切手は「郵便発祥の地」を表したものです。
近代的郵便制度発足時に、通信・郵便事務を統括する駅逓司と東京郵便役所が置かれた日本橋をモチーフとしました。
当時から日本橋で商いを行う榛原とも、嬉しいご縁を感じる切手です。
華やかな季節のおたよりを軽やかに
特殊切手「日本の歌シリーズ第9集」(60円)1981年3月10日発売「花」(原画:林静一)
グリーティング切手「海外グリーティング(差額用)」(18円)2017年11月1日発売 モチーフ:おだんご
明治期に活躍した日本画家 伊藤綾春のスケッチを基にした桜の葉書には、
滝廉太郎作曲の歌曲集『四季』より第1曲『花』の楽譜が記載されたうららかな切手を合わせました。
原画は、ロッテが製造・販売するキャンディ「小梅」のキャラクターや、漫画『赤色エレジー』で知られる画家の林静一氏が手掛けています。
美味しそうな三色のお団子も添えた遊び心をプラスしたコーディネートです。
ちいさい蛇腹便箋は、おまけのお手紙として封筒の中に忍ばせても。
手紙の中にさらに入っているちいさな手紙は、読む人を楽しい気分にさせてくれるはずです。
幾重にも重なる桜。まるで花吹雪を写しとったような葉書です。
花見月に手紙をしたためるなら、夢みるような竹久夢二デザインのはがきも外せません。
桜の木の下でおべんとうを広げる、そんなイメージで切手を選びました。
こちらの切手は、日本橋で江戸時代より折詰弁当を販売する「日本橋弁松総本店」が画題を提供しています。
背景にご紹介しているのは、榛原千代紙「朝桜」です。
千代紙を用いて大切な本にブックカバーをするのもおすすめです。
春の行楽のおともに、ぜひどうぞ。
春はお祝いの季節です。新たな門出を祝う手紙は、受け取る方の心を励ますだけではなく、一生の指標となることもあります。 上質な手漉き和紙に、特殊な技法で模様をのせた「浮彫和紙」の美しい意匠が、想いをさらに引き立てます。 合わせた切手はこんぺいとうです。こんぺいとうは、慶事や引出物に用いられることもある、愛おしい寿ぎのお菓子です。
色とりどりの和服に身を包み、行楽にいそしむ一行を描いた絵はがきです。
富士と桜の取り合わせは日本の美を伝えます。
切手は、近代を代表する日本画家・上村松園による凛とした清らかな絵画
「鼓の音」です。
春の陽気にさそわれた人々の、明るい心の内を鼓の拍子で表すような気持ちで
選びました。
紋白蝶が運ぶ季節の便り
花から花へと舞う紋白蝶の姿を、職人による手仕事で一枚一枚丁寧に摺り上げました。
さなぎから蝶へと、新しい生を宿して出現する蝶々に新年度の志が重なります。
合わせた切手は、色合いも美しい「舞妓林泉」です。京都の日本画家・土田麦僊の描く舞子の姿と、着物そのものを意匠とした切手を合わせ、レターセットとの調和を楽しみます。
尽きない話題は蛇腹便箋にのせて
特殊切手「切手趣味週間」(80円)1997年4月18日発売
※モチーフ:「醍醐」奥村土牛画 (原画:山種美術館蔵)
特殊切手「おもてなしの花シリーズ 第1集」(52円)2014年4月3日 ※モチーフ:さくら
久しぶりにお便りを送る方に、たくさんお話をしたいときにぴったりなのが
蛇腹便箋です。
文字の分量を気にすることなく、心のまま綴ることができます。
手紙は重さにより郵送料金(切手)も変わりますので、書き終え封をしたら最寄りの郵便局で測ってもらうと安心です。
奥村土牛の描いた桜の切手で手紙が届いたら、心躍るひとときに。
桜の便箋に桜の切手を用いて、手紙の上でのお花見です。
今回は、春のお手紙の結びに使える文例をご紹介いたします。
結びの言葉一例
・くれぐれもお体おいといください ・お体にご留意ください ・お健やかにお過ごしください ・花冷えの折、風邪など召されませぬように ・春光のもと、穏やかにお過ごしくださいますように
心躍る春の手紙時間を、どうぞお楽しみくださいませ。

近藤千草